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令和4年9月7日

 
<強度行動障害者の「重度訪問介護」を考える> 

 障害者支援施設いわゆる入所施設を利用される方の重度高齢化や長期利用が問題化している。グループホーム等への地域移行も思うように進んでいない。背景にあるのが、利用者の強度行動障害の有無もあるとされている。共同生活になじめない利用者の存在だ。

 強度行動障害者の地域生活は可能なのか、対人的な刺激を軽減するために、単身で生活が可能な「重度訪問介護」の利用が各地で報告されている。

 重度訪問介護は、重度の肢体不自由者又は知的障害もしくは精神障害により行動上著しい困難を有する障害者であって、常時介護を要するものにつき、居宅において入浴、排せつ、および食事等の介護、調理、洗濯、および掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び、その他の生活全般ににわたる援助並び移動中の介護を総合的に行うものだ。

 障害者にとってはベストな制度だが、利用するにはそれなりの制限がある。障害支援区分4以上、二肢以上のマヒ、認定調査項目「歩行」「移乗」「排尿」「排便」のいずれも「支援が不要」以外でなければならない。また認定調査で行動関連項目等(12項目)の合計点数が10点以上であるものとなっている。制度の条件をクリア―できても、費用対効果との観点から行政サイドが認めてくれるとは限らない。現に入所施設に入所中の障害者は難しい。

 恵和青年寮では強度行動障害者の地域生活が可能かどうか、本人にとって有益かどうか、

発達障害関連のコンサルテーションを受け、専門家の意見を聞き、8月初旬から中旬にかけて体験利用した、成年後見人含めた家族の承認を得たうえで、あくまで自費での体験を実施した。実施するには、体験場所の確保、訪問介護事業者など多くの協力があってこそだ。

 9月6日に「重度訪問介護」の体験にかかわった関係者が全員集まり、検証を行った。

体験された方は始終落ち着き、今までにない平穏な日々を過ごされたとの事。このような暮らしが実現出来たら強度行動障害者ではなく普通の人として生活ができるのではないかと。重度訪問介護は障害者が地域生活を送る上では最良の制度と言って過言ではない。しかしながら費用の問題がある、希望する障害者が皆、使えるかというと、どうだろう。

「重度訪問介護」が認知され、希望者が増えれば、増えるほど、利用するためのハードルは高くなるのではと危惧する。          

 


                      
社会福祉法人 恵和     
理事長 濵走弘之 


 
<つぶやき>
 
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