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令和5年8月28日

 
「意思決定支援」に思う

 令和5年4月1日から「神奈川県当事者目線の障害福祉条例」が施行された。

 この条例は、27の条例で構成されており、第1条の目的では、障害のある人が障害を理由とするすべての差別や虐待をされずに暮らすことが出来て、誰もがうれしいと感じられる社会にしていくこと。第3条では大切な考え方として6つのポイントが示され、第10条では「意思決定支援に取り組むこと」などがあげられている。

 平成28年7月に起こった津久井やまゆり園事件後、このような悲しい事件が二度と起きないようにするために、10月に「ともに生きる社会かながわ憲章」を作りました。また、「津久井やまゆり園利用者の意思決定支援」が6年間実施されました。

 「意思決定支援」というこの言葉は、知的障害者支援を実践する者のなかではずっと以前から言われ続けていることです。特に重度の知的障害児者の意志を理解するのは困難で支援者の代理支援が行われ、保護者、支援者、関係機関などがその人の意思を代弁してきた歴史があります。

 障害者支援施設に入所されている方は重度の障害者が多く、児童入所施設からの移行や、若くして入所された方が多く、本来、社会生活上で培われる経験が圧倒的に少ないのが現状です。そのような状況のなかで意思決定支援をするというのは難しいと思われます。意思決定支援する前に、社会生活を送る上で必要な経験を体験すること。そのためには、施設内における選択はもちろんのこと、施設外での社会資源(コンビニ、スーパー、ファミレス、電気店、外食、映画・遊園地)の活用など、多くの経験をすることが必要です。

 果たして現状の障害者支援施設で可能でしょうか、配置基準も曖昧、ガイドヘルパーも使えないなど、経験を積むには難しい状況です。

 そうはいっても、現状の制度の中で、利用者の方の日々の支援の中で注意深く観察して、その人の思いを実現する努力はしていきたい。


社会福祉法人 恵和     
理事長 濵走弘之 


 
<つぶやき>
 
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